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2013年9月 8日 (日)

松井秀喜 その野球人生10

10


2013年8月8日 朝日新聞


  未来


巨人のユニホームに袖を通したのは、11年ぶり5月5日、師匠の長嶋茂雄氏と
ともに、東京ドームで国民栄誉賞の授賞式に臨んだ。始球式でマウンドに登る
と、満員のファンから「松井! かえってきて」の声が飛んだ。指導者としての
期待は膨らんでいる。

「そう言ってもらえるのは、非常に素晴らしいことで、ありがたいこと。ただ、これ
ばかりは、何とも言えない。自分の一存だけでは決められない。タイミングや縁、
色々な要素が重なって、実現するものと思う。一つ言えることは、例えばビジネ
スとか、野球と全く関係の無いところに重きを置くつもりはない」

野球への情熱が冷めたわけではない。次のステップへ向けた充電期間を、大
切に過ごそうとしている。むしろ、グラウンドを離れ、芽生えるものがあった。

「自分にたくさんの愛情を注いで下さった人たちに、恩返しをしなければいけな
いと思っている。野球というスポーツ、巨人、長嶋さん、そして、応援してくれた
ファンの皆さんに。野球で自分だけが良い経験をして『はい、終わりです』では
通らないと思う。お返しするという使命が、課せられていると感じる」

来年で40歳。指導者としての適齢期はいつか。

「まだ、具体的には何も決まっていない。今はリラックスした時間を過ごしている
し、準備が出来ていない。これから考えなくてはいけないが、あらゆる可能性を
現時点では消したくない」

ヤンキースやニューヨークのファンにも愛された。

「ヤンキースには、こちらに出来ることがあれば、何でも言ってくれと言われてい
る。アメリカで指導者として、再びユニホームを着る可能性もあるかもしれない」

育てた選手が三冠王を狙える打者に成長し、世界で通用するスラッガーになれ
ば・・・・・・。長嶋氏との師弟関係の系譜が受け継がれる。

「長嶋さんとの練習が、嫌だと思ったことは一度たりともなかった。そこには愛
情を注いで頂いている感謝と、信頼関係が築かれていたからだと思う。練習に
耐えうる強い肉体と、素直にアドバイスを受け入れられる広い心。両方が必要
になってくる」

今のプロ野球で主軸を打てる若い打者は多くない。将来のスケールを感じさせ
る打者を問うと、「日本ハムの中田君か・・・・・・」と言ったあと、名前が続かず、
複雑な表情を浮かべた。

大きな耳たぶ、切れ長の目。3月に誕生した息子は父親にそっくりだ。野球界
には、これまでも何人もの“松井2世”がいたが、正真正銘の後継者だ。

「野球をやってくれたらうれしい。でも、絶対に強制はしない。何げなく、そっち
の方向に持って行くかも。部屋にボールや、バットをさりげなく置いたり」

「もし野球をやってくれたら、教えてあげたい。20年もやって来たけど、ああして
いれば良かったということがいっぱいある」

甲子園に「バッターは、松井君」のアナウンスが戻るのか。「星稜の松井」の復
活なら、ファンにはたまらない。

「そうなれば、僕が星稜の監督をやらせていただく」

冗談を言っておどけた。

日本人スラッガーとして日米の球史に名を刻んだ。今度は球界発展のため、
その経験を後進へ伝える。
 (この連載は福角元伸が担当しました)

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